大阪よどがわ市民生活協同組合、鳥取県生活協同組合、生活協同組合連合会コープしこく(以下消費者団体)とトゥンカーワット農園経営農民会(以下生産者団体)及び両者を仲介する株式会社パシフィック・トレード・ジャパンと株式会社パンパシフィックフーズコーポレーション(以下仲介団体)は、生産者団体が生産し消費者団体に供給する無農薬バナナの栽培・出荷について以下の基準に基づく生産・出荷活動を推進することに合意した。
1.基本方針
すでに文書で確認されている以下の3つの文書の趣旨を継承する。(イ)、生産者団体が1994年1月15日に大阪よどがわ市民生協との間で調印した『共同宣言』、(ロ)、同年4月25日に調印した『ホムトン・バナナの取り引きについての申し合わせ』、(ハ)、同年10月14日にとくしま生協との間で調印した『共同宣言』。
2.基本となる基準
この基準に反したバナナは三者の事前合意がない場合供給しない。
(1)生産関連基準
① 無農薬栽培:栽培期間中は圃場内での一切の農薬使用をしない。(イ)、ここでいう「栽培期間」とは最初の苗の定植を開始する3ヶ月前から同一圃場における最後の収穫が完了する時点までを意味し、二番苗以降のものについても適用する。(ロ)、「無農薬」とは工業的に生産された殺虫剤、殺菌剤、除草剤、防虫剤等の化学農薬を使用しないことであり、バナナはもとより同一圃場内にある他の植物に対しても使用しない。ただし生産者が独自に天然資材を使用して製造するもの及び天然資材のみを原料としていることが証明できるもので、かつ環境・生態系、生産物及び人体への負荷が無いことが証明されたものを除く。
② 品種:ホムトン種であること。
③ 生産者:生産者団体の会員であること。
(2)出荷関連基準
① 熟度:花芽を切断した日から50日以上のものであり、完熟した状態を100%とした場合に75%~80%の熟度であること。
② サイズ・重量:1ピース当たりの重量が100グラム以上あり、かつ房外側中央の実の最大円周が10センチ以上であること。分断された房の場合には分断部から数えて外側2番目の実を対象とする。
③ 傷・アザなど:当たり傷、アザなどが全房の表面積のうち目検で、あわせて20%以下であること。ただし輸送中の品質劣化に繋がると判断される表皮部の生傷は認めない。
④ 温度管理:収穫から36時間以内に冷蔵庫に搬入されること。
⑤ 情報管理:出荷される全ての箱について、箱番号で圃場と生産者が特定できるよう情報が管理されること。
⑥ 収穫後の農薬使用禁止:収穫後パッキング・ハウスに搬入されてから梱包後出荷されるまでバナナ、包装資材、箱などに一切の農薬を使用しない。
3.目標とする基準
よりよい品質のバナナを供給するために目標となる基準であり、生産者・出荷者はこの基準を満たすよう鋭意努力する。
(1)生産関連基準
① 土壌の管理:長期安定的な生産を維持し、連作障害を防止するための土壌管理に常時気配りをすること。バナナ定植1,000本当たり3t以上を目安に有機堆肥を充分に投与し、化学肥料は必要な場合であってもその使用を最小限度に抑える。また混植、輪作体系、休耕などによる土壌の安定化を図る。なお土壌調整目的の生石灰の使用は定植前に限り、必要な場合に限り最小限度認める。
② 苗の育成及び栽培管理:健全な苗の生育を維持するために、別途定める栽培管理マニュアルに基づいて、苗の選別、定植間隔、脇芽の処理、葉の処理、施水、施肥などについて最低限必要な管理が施されること。
③ 肥培記録の管理:生産者は自身の肥培管理・栽培管理記録をつける。
④ 生産・栽培記録の公開:生産者団体は生産者に対し肥培管理記録・栽培管理記録を常に開示できる状態で保管するよう指導し、消費者団体より要請があった場合には常に開示する。
(2)出荷関連基準
① 集荷管理:圃場での集荷は出荷当日の早朝に行い、農場での滞留時間が長くならないように努める。
② 工程管理:収穫後のパッキング・ハウスまでの輸送や梱包作業中に生じる品質劣化及び日本までの輸送途中に生じる品質の低下を最低限に抑えるためのバナナの取り扱いや輸送方法及び梱包方法などについて、別途作成する作業マニュアルに沿った管理を行なうこと。特に収穫から冷蔵庫搬入までの時間を24時間以内にするよう努めること。
③ 作業効率や精度を維持するための作業場の管理・運営を向上させていくこと。
④ 衛生管理:使用する水、資機材、作業員の身辺など作業環境を清潔な状態に保ち、商品の安全性に影響すると見なされる病原菌等のパッキング・ハウスにおける繁殖を予防するよう努めること。洗浄水・石鹸水などの入れ替えは作業工程表に沿って進める。
⑤ 機材管理:冷蔵庫その他の機材の稼動状態を定期的に点検し、異常が発見された場合には直ちに対応すること。
4.基準の変更
上記基準の変更についていずれかより提案があった場合には三者協議し、一時的な変更、恒久的な変更であるか否かを問わず各団体の文書による承認によって発効する。
5.基準遵守・励行状況の情報開示
生産者及び生産者団体は仲介団体に対し常に本基準遵守・励行状況について情報を開示する義務を負う。
2002年9月14日 |