2008年10月13~17日
「三産地で小川孝郎氏の勉強会を実施」
 

 2008年10月13日~17日にかけ、バンラート、サウィ、ラメーのホムトンバナナ三産地で小川孝郎氏の勉強会を実施。テーマは“化学肥料削減”と“強風対策”です。「らでぃっしゅぼーや」からも島田氏、後藤氏、成田氏の三名が視察同行。島田氏からは“日本でのバナナの流通状況”についての説明が三産地でなされました。

~小川孝郎氏について~

 小川さんは山梨県でブドウを30年以上も有機栽培で栽培し続けている農業生産者で、農業改良普及員だった経験もあることから実践的な農業技術の指導者としてホムトンバナナの生産者にこれまで数度に渉って貴重なアドバイスをされて来られた方です。そして今回、“化学肥料削減”と“強風対策”を主なテーマにした学習会開催のため、来タイしてくださいました。

 今回「らでぃっしゅぼーや」の方々も小川氏と同行されましたが、「らでぃっしゅぼーや」は従来より小川氏のぶどうを扱っており、PTJ(パシフィック・トレード・ジャパン)はその紹介で小川さんの協力を仰ぐこととなりました。

 

 最初に訪れたのはペッブリー県バンラート郡のバンラート農業協同組合。ここでは小川氏が来タイされる直前の11日夕方に発生した突風被害()で生産者たちがまだショックの最中にあったこともあり、勉強会テーマの1つである“強風対策”がとても興味深く、また貴重なものとなりました。

 

① バンラートのバナナは収穫を一度終えるごとに耕起して新たに植えなおすという栽培スタイルの圃場が多いため、根が十分に張っていない。そのため風が吹くと木の根元から揺れが発生するため、揺れも大きくなり幹が折れやすくなる。

② 圃場の中に根をしっかりと張り巡らすために、連作を推奨。同時にミミズの餌となるバナナの葉や幹などの有機質をしっかりと土壌に被覆するなど土壌改良につとめ、土壌中の栄養分の枯渇に注意。

③ もしくは圃場の外周にあるバナナのみ連作して根をしっかりと張らせ、防風壁がわりにする。防風壁に高さのある作物を使用すると、風がそれを乗り越えて下に落ちてくるため圃場の内部が被害を受けてしまうが、高さの同じバナナを防風壁として使用すれば、風が上を通り抜けていくため被害はほとんど発生しない。

④ 収穫を終えたバナナの木は根元からしっかりと取り除いておくことが重要。そのまま残しておくと、新しく生まれた苗の根が伸びるのを邪魔し、片側半分にしか根を張らすことができなくなる。そうすると風に弱いというだけでなく、栄養も十分に吸収出来ず生育不良の原因にもなる。

 

 

 次に訪れたチュムポン県サウィ郡のチュムポン県無農薬ホムトンバナナ生産組合では、新組合長アナン氏が他の生産者から抜きん出て積極的で、小川氏の「私のアドバイスした話の一つでも良いので実行してみてください。」の言葉にすかさず「一つと言わずにすべて実行してみるつもりだ。」と返していたのがとても印象的でした。

 

① 自然に育っている植物が何故肥料もやらないのにスクスクと元気に育っているのか、自然から学ぶことが大切。ホムトンバナナの圃場にも、自然の循環システムを取り入れる。そのためには土壌中の微生物やミミズが十分に活躍できる環境をつくってあげることが大事。まずは彼らの餌となる有機質をたっぷりと与えること。バナナの葉や、周囲に生えている被覆向けの幅広の葉、収穫を終えたバナナの木など。バナナの木には栄養がたっぷりあるため、非常に良質な餌となる。被覆する場合には、輪切りにするのではなく縦方向に切ること。(バナナの木の芯部はゾウムシの温床となるため。)

② 強風対策のポイント④に関連して、収穫を終えたバナナの木をそのままにして残しておくと、やがてそれが分解されて新しい苗の根元にポッカリ穴ができる。すると当然その部分には根が生まれないため、栄養を十分吸収出来ず生育不良の原因となる。

② 根はできるだけ深く張り巡らせるよう注意する。木の根元に被覆する際には幹から少なくとも20センチ離すこと。くっつけると根がドンドン上に上がって来てしまう。また、苗選びの際にはできるだけ下から生えているものを選ぶこと。

③ バナナの根は幹からの半径が20cm~80cmの部分に集中しているため、施肥および被覆はその部分に集中して行うこと。

④ BMW生物活性水を散布する場合は午前中に行うこと。気温の低い時間帯は葉の裏の孔が開いているため、吸収が良い。

⑤ 植え付けから花芽分化までの5ヶ月間は栄養成長期であるため、窒素を多めに与える。(N > K + Ca + Mg) 花芽分化から花芽が出るまではカリを多めに与える。(K > N) 基本的に花芽が出てから先の施肥は作物に悪影響を及ぼすため行わないが、生育が悪くどうしても施肥を行う必要のある場合には葉面散布にとどめておくこと。

 

 

 最後に訪れたチュムポン県ラメー郡のトゥンカーワット農園経営農民会では、ウィサイタイ作業場とラメー作業場の2箇所で勉強会を実施。少なくとも30名近い生産者が両方の勉強会に参加しており、その意欲の程を見て取ることができました。()小川氏の指摘したバナナの栽培管理上の問題点は生産者たちにとっても納得のいく部分が多かったようで、「何故今まで気づかなかったんだ?」との声も聞こえました。今後どの程度改善されていくか楽しみなところです。

 

 
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